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Project-Itoh [Anime]

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ノイタミナムービー第二弾として、10月より3作連続で公開される、故伊藤計劃氏著の『虐殺器官』、『ハーモニー』、そして、伊藤計劃氏が残した序文を元に円城塔氏が引き継いだ『屍者の帝国』。
総称して”Project-Itoh”

昨年からCM等での告知もあり、公開前には原作を読もうと手に取ったのがGW前あたりだったでしょうか。
そこから、虐殺器官、ハーモニーと読み終え、今のところ屍者の帝国の2/3程度を読み終えたところ。

丁度、伊藤氏の作品を手に取る直前に読了したのが、冲方丁氏著の『マルドゥック・スクランブル』。
これがまた面白く、主人公を狙う誘拐屋との攻防、また本作の中でも取り分け評価の高い"カジノ編"における心理描写や臨場感は、読んでいる最中に『のめり込むという事とはこういう感覚なんだな』と思える程、今迄に感じた事の無い感覚を持って読み終えた作品。
因に、本作は早川書房が刊行するSF小説のランキングブック『SFが読みたい!』において、2003年度の国内篇1位、ゼロ年代の国内篇3位の作品。

で、前置きが長くなりましたが、本題の『Project-Itoh』における、虐殺器官とハーモニー。
実は、『SFが読みたい!』ゼロ年代の国内篇1位が虐殺器官(2007年度の国内篇1位)なのです。
なお、ハーモニーは2009年度の国内篇1位で、ゼロ年代はランク外ですが、日本人作家として初めてフィリップ・K・ディック賞特別賞を受賞。

このゼロ年代の国内篇ランキングは、虐殺器官を読み終えたあとの後書きにて知る事になるのですが、言い得て妙とはこの事(ちょっと大袈裟ですが…)、あれだけ私の感覚に新風を送り込んだマルドゥック・スクランブルを読み終えた直後だっただけに、その結果が確かに分かったのです。


虐殺器官は1巻構成によるSF小説。
アメリカ情報軍に所属する主人公クラヴィス・シェパードが、後進国で横行する内戦と民族対立による虐殺を煽動していると目されるジョン・ポールの暗殺を命令される物語。

序盤は割と、というか率直に言って少々期待ハズレな感があったのです。
これは文体的にというか、著者の伊藤氏の作家デビュー作ということもあり、またマルドゥック・スクランブルを読み終えた直後という事も影響していたのでしょう。
でも、それは単純にそれだけが理由だったんだと思います。

序盤を過ぎると、当初抱いていた感覚は簡単に覆されます。
多少の専門用語はあれど、シンプルな描写、回りくどい状況説明や風景描写など無い、とても読みやすく想像力をかき立てられる(想像しやすいという方が合っているかも)文章。さらには、アニメや小説などで今迄見た&読んだSF作品には無い斬新な設定。特に、兵器や軍事ガジェットにおける斬新さは、私のようなミリタリー関連に疎い者でも構造やら形状に興味をそそられてしまう程。
当然、読め進めるごとに『のめり込み度』が深くなっていったのは言わずもがな。
そして、意外な結末。。。

上記の興奮度からして、読了後に次作のハーモニーへ間髪あけずに移った事は想像に難くないと思います。
そして、このハーモニーが、私の伊藤計劃作品で一番好きな作品。
実は本作、虐殺器官の数十年後における同じ世界の作品。
前作のテーマとは真逆のテーマを持ってきたこの作品は、最初から最後まで、無駄と感じる部分が一切無い、本当に面白い作品です。
人類が目指す究極のかたちに異を唱え、それに抗う人間の物語。
この"究極のかたち"の設定の斬新さと、それを納得できるほど作り込まれた"設定の設定"。
さらに、まったく予想だにしない物語の構成。衝撃さえ受けるこの構成には本当に驚かされたし、今迄私が読んだ&見た作品の中でも衝撃度は1番だったかも。
そして、コチラも虐殺器官同様に訪れる意外な結末。。。
文章の読みやすさは虐殺器官よりもさらに洗練されていると思います。


最後に、現在読み進めている『屍者の帝国』。
こちらは純粋な伊藤計劃作品では無い為、やはり前の2作品とはやや趣が異なります。
非常に重厚な世界観かつ文体の作品で、虐殺器官、ハーモニーと比べると、より小説好きな人向けの作品かもしれません。
ここ最近小説はよく読むようになったけれど、小説独特の表現や比喩に慣れ親しんで"いない"身としては、少々表現やらが回り諄く感じてしまい、イマイチ感情移入できないというか、どうも頭に入ってこない部分があります。
とは言え、こちらにもやはり『のめり込む部分』は間違いなくアリ、難解な部分においては、もっと色々な作品を読み、小説独特の表現や比喩に慣れ親しめば、今の状態よりも面白く読めるかも。
とは言え、まだ読了した訳ではないので、ここからの結末に非常に興味があるところではありますが。
とりあえず、今回のProject-Itohの3作では最初に公開が決定している『屍者の帝国』。現段階で言えば、頭の中での映像化が一番出来ていない作品なので、そこでのリンク、『あぁこういう事!』な感じは一番あるかも。


と、非常に長く、かつ上っ面らな事を羅列しただけの文章になってしまいましたが、伊藤計劃氏の作品は本当に面白いです。
正直、単巻なのがもったい無い程。虐殺器官、ハーモニー、もう少し物語を読んでいたい、みたい、と思える作品です。

原作を読み終えた身としては、いやが上にも映像化のハードルは上がってしまいますが、10月から3作連続で公開されるProject-Itohが楽しみでなりません。








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